インスリン療法

 インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖分を全身の細胞に取り込ませたり、脂肪や筋肉などに蓄えさせたりする働きにより、血糖値を下げています。
糖尿病は、このインスリンの分泌が不十分だったり、働きが悪いために、血糖値が高くなる病気です。


健康な人の場合、インスリンの分泌には一定のパターンがあります。
  ★ 一日中一定量が出ている 【基礎分泌】
24時間ほぼ一定量に保たれている分泌があり、これを「基礎分泌」といいます。

  ★ 食後に勢いよく出る 【追加分泌】
「基礎分泌」とは別に、食事をして血液中のブドウ糖の量が増えると、
タイミング良く大量に分泌される分があり、これを「追加分泌」といいます。

 インスリン分泌が不足している場合に、体外から注射で補うことで血糖値を下げる治療法が「インスリン療法」です。

 インスリン注射は特殊な治療法ではありません。健康な人のインスリン分泌に近い形になるように、注射でインスリンを補って血糖値を厳密にコントロールしようとするものです。

 どんなインスリン製剤を用いて、どの程度の量をいつ注射するかなどは、主治医がその人の病状や生活習慣に合わせてきめ細かく指導します。

種類
効果の現れ方
超速効型
速効型
中間型
持続型
持効型
混合型
 インスリン製剤は、
<1>皮下注射後の効果発現開始時間
<2>ピーク
<3>持続時間
の、差によって、
★超速効型
★速効型
★中間型
★持続型
★持効型
★混合型
の6種類があり、その特長を活かして使い分けます。
 自分がどの種類の製剤を使い、そのインスリンがどのように作用して血糖値がどう変化するのか、特徴を理解し、使いこなすことが大切です。


 今までの速効型インスリンでは食事の30分前に注射することが必要でしたが超速効型インスリンは体内で素早く吸収されるので食事までの待ち時間がなくなります。食事の直前に注射してください。(追加インスリン分泌の補充)

  超速効型のミックスされた混合型も、食事の直前に注射します。

  持効型溶解インスリン製剤は1日1回の投与で明らかなピークがなく、ほぼ1日にわたって生理的な基礎インスリン分泌パターンを再現してくれます。
(基礎インスリンの補充を目的とした製剤)

  インスリン製剤には、ペン型注射器にセットするカートリッジ製剤、ディスポーザブル製剤(あらかじめインスリンがセットされていて、使い終わったら捨てるインスリンと注射器が一体となったもの)、注射器をイメージさせず見やすく単位あわせしやすいものなど色々あります。

 今後のインスリン療法はインスリンを含む貼り薬を皮膚の表面に貼付して、皮膚を通してインスリンを吸収させようという試みや、膵島移植療法やインスリン遺伝子療法などが考えられています。